昨年12月に開催された新建新聞社主催の「住宅産業大予測2017」。新建新聞社の代表である三浦祐成氏が経済や消費者の動向を踏まえ、住宅業界の予測をしながら解説してくれる大変興味深くとても面白いセミナーです。今回も参加してみましたのでさっそくレポートに綴りたいと思います。
レポート第一弾は「落ち込む個人消費と住宅購入メーン層である20代・30代をどう攻略するか」です。
まず第一に個人消費がずっとマイナスなことが取り上げられていました。個人消費はどんどん落ち込んでいます。その原因としてはよくメディアでも言われていますが中間層が減り、低所得者層と富裕層の二極化があげられます。その中でも住宅を購入するメーンの層である20代・30代はマス層(金融資産3,000万円以内)もしくはアッパーマス層(金融資産3,000万~5,000万以内)に分布されます。
住宅購入メーン層の20代・30代の特長としては生活防衛意識が高く、消費も堅実。昨今「若者の○○離れ」という言葉をよく聞きますが、それも消費が堅実だからこそ。無理なく、無駄なく、ミニマルな志向を良しとする傾向があります。そしてその世代の夫婦観は「共働きを当然」としている夫婦観です。共働きをしている夫婦が多いですが、その中でも「フルキャリ家庭」と「ゆるキャリ家庭」では消費傾向に違いがあります。フルキャリ家庭とは奥さんがフルタイムで働く家庭のことで、ゆるキャリ家庭とは奥さんがパートタイムで働く家庭のこと。下の表を見てみるとその消費傾向の違いがよくわかります。
フルキャリ家庭は忙しく時間がなく、利便性やショートカットを望む傾向が強いようです。信頼できる誰か(プロ)や著名人の言うことを飲み込みやすいそう。忙しい人ほどプロの言うことをきく傾向にあるそうです。住宅業界の狙い目としてはフルキャリ家庭には徹底的にプロの目線でセレクトした提案を、ゆるキャリ家庭には経済的満足感の高いカスタマイズ住宅など、提案の方向性を変えるべきなのでしょう。
デジタル・ネイティブであるこの世代とのコミュニケーションにはやはりSNSは欠かせなく、プロモーション自体も「スマフォファースト」「SNS活用」が基本になります。この世代は「無理なく、無駄なく」をモットーにしている合理主義な一方で「ちょっとだけ自分流」にしたい欲求があり「カスタマイズ」好きな世代でもあります。カスタマイズやDIYに対応する住宅商品やコース設定も有効です。
ここまでは「結婚して家庭をもった20代・30代のそれぞれの消費」の傾向でしたが、三浦氏は2030年には男性生涯未婚率が3割近くに到達することを見越して、今後ファミリー世帯が少なくなることを踏まえ、単身者に対してはどういう住居を提案するかも課題になるのではないか、と提言されていました。「単身者=賃貸」というイメージはどうしても拭えませんが、でも単身者が3割を超えてくるのなら無視できないゾーンになります。そこを取り込む策もなにか講じていかないといけないのではないか、と。
第一弾は現在のメーンの購入層である20代・30代の特長をつかむレポートをしました。第二弾は三浦氏の語る「最新工務店事情」をレポートします!
住宅産業大予測フォーラム2017 / 新建新聞社