シンボルツリーを自分で植えてみるなら!-庭の環境・樹種・水やり編-

ICA関西「~気軽に楽しむ~小さな庭づくり 講師:東美恵子氏」から内容を抜粋してレポートしています。インテリアコーディネーターとして内装デザインを手掛けている講師の東さんですが、グリーンや花の造詣も深く最近ではインドアボタニカルや植物に関するセミナー講師をされることも多いのだそう。受講者アンケートの中で多かったという要望が「業者に頼むほどでもない庭や玄関周りの小さなスペースを自分でどうにかしたい」というもの。
自宅のちょっとした狭小スペース。植木屋さんや外構屋さんに頼むほどのスペースじゃないし、自分でシンボルツリーくらいなら植えられるかな?と考える人は少なくなさそうですね。そんな時に役立つ、環境のチェック方法、シンボルツリーの選び方をご紹介します。


庭づくりの前にチェックすべき庭の環境
(1)気候条件をチェック
住んでいる地域の最高気温・最低気温。特に真夏の最高気温や真冬の最低気温はマスト!

(2)植栽する場所の日照条件をチェック
ひなた…半日以上直射日光があたる
半日影…1日のうち2~3時間直射日光があたる
日影…直射日光がほとんどあたらない

(3)土壌条件をチェック
水はけ・通気性をチェックします。チェック方法はスコップで40cmほどの穴を掘り、水を入れて水がちゃんと引けばOK。いつまで経っても水が引かなければ粘土質の土壌の可能性が。植物が根が張れず弱ってしまうので、その場合はレイズベッドしてみましょう。


植栽する環境をチェックしたら植えてみたいシンボルツリーを選定しましょう!花を楽しみたいのか、葉の色や形を楽しみたいのか、紅葉など季節の移り変わりを楽しみたいのか、自分の理想の木を探しましょう。
シンボルツリーの選び方で外せないポイントは「生長がなるべく遅いこと」と「枝が横張りしにくいこと」。成長が早いとあっという間に大きくなって庭が狭く感じてしまいます。横張りしやすい樹種だとすぐに剪定が必要になり手間がかかります。オススメ・人気のシンボルツリーはこちら!

◆落葉樹◆
ジューンベリー
白い花と赤い実をつける可愛らしい落葉樹。実は食べれるそうですがそんなに美味しいものでもないようです。成長は遅めで枝が細く、背も低めなので狭いスペースに最適のシンボルツリーです。日当たりの良い場所を好みます。

画像引用元:ガーデンショップOHANA


ヤマボウシ

シンボルツリーとして人気の木。ハナミズキとよく似ていますがヤマボウシは日本の自生種で、どこか可憐な雰囲気があります。ハナミズキで悩まされやすいうどんこ病の被害がほとんどないこともポイント。日当たりのよい場所~半日影を好みますが、一日中直射日光に当たるような場所だと葉焼けする場合があります。
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画像引用元:株式会社広島美建


ハナミズキ

白やピンクの花をつけ、秋には紅葉することから人気のハナミズキ。うどんこ病に弱く秋のはじめに落葉してしまうこともあります。小さく仕立てることもできますが、横に広がりやすい樹種でもあるので狭すぎる場所には不向きかもしれません。日当たりのよい場所を好みますが強すぎる西日に弱いです。
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画像引用元:Hug garden


◆常緑樹◆

シマトネリコ
こちらのランキングでも1位でしたが、シンボルツリーとしての人気は不動のもの。シマトネリコの人気強し!とても丈夫で育てやすく比較的安価で全国どこでも手に入りやすいのが人気の理由。ただ成長速度はかなり早いので剪定は必須ですが、剪定がしやすく扱いやすい木でもあります。半日影でも育ちます。寒さにはやや弱く、寒冷地ではあまりオススメできません。

画像引用元:農事組合法人 桃山町植木組合


オリーブ

細い葉の形もナチュラルな姿も果実も大人気のオリーブ。生育の速さは普通ですが、オリーブは大きくなると強風が原因で枝が折れたり傷んだりしやすいため必ず剪定が必要です。日当たりのよい場所を好みます
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 画像引用元:施主のための家づくりサーチ


ソヨゴ

ソヨゴは美しい緑色の葉が特徴的な常緑樹です。乾いたような質感の葉は風に揺れると周囲の葉とこすれ、かさかさと独特の葉音を立てます。生育は遅めです。日当たりのよい場所~半日影を好みますが西日はやや苦手です。東北南部くらいの寒さには耐えられます。
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画像引用元:プラッツ


マツ

常緑針葉樹といえばマツ!マツといえば和風なイメージもあるかもしれませんが実は洋風にもアレンジできて、渋いスタイリングに仕立てることも。人気のインダストリアルなテイストにもハマります。日当たりのよい場所を好みます。暑さにも寒さにも強い品種が多いのが特長です。

画像引用元:田中園


コニファー類

常緑針葉樹のコニファー類は洋風の家やガーデンによく似合います。主にヨーロッパから入ってきた針葉樹を総称してコニファーと呼びます。生育が遅いので扱いやすいのですが、熱さに弱いので夏場は注意が必要です。直射日光を避け半日影~日影に植栽しましょう。西日にも注意。また蒸れにも弱いので水やりの時間にも注意が必要です。

画像引用元:niwaki info

シンボルツリーを買う時は「根巻」がしてあるものがおすすめです。「根巻」とは庭木の移植や移動の時に根を傷つけないように麻やムシロで根を巻いた状態のこと。地植えで育った苗木で枝張りや根の張りもしっかりしているのが特徴です。ポット栽培の苗木の数倍のボリュームがあります。荒縄やムシロなど自然素材で巻いてあるものは、ほどかずにそのまま地面や鉢に植えつけられます。


★シンボルツリーを育てるために欠かせない水やりのポイント★
夏は日暮れに週三回水やり ⇒ 朝や日中に水をあげると気温がどんどん高くなり蒸れてしまうため。
冬は朝に週三回水やり ⇒ 夕方に水をあげるとどんどん気温が下がり凍結の可能性があるため。

また、シャワーホースでシャーッと水をまくだけの水やりは厳禁です。根にちゃんと染み込むようにたっぷりとあげましょう。真夏のカラカラに乾いた暑い日は水を毎日あげたくなってしまいますが、毎日水をあげていると木が土から水分を吸収する間もなく水が供給されることになり、強い根をはらなくなってしまう可能性も。もちろん、樹種や環境にもよりますが水はあげすぎるとトラブルの元になります!


庭の環境のチェック方法、シンボルツリーの選び方と人気の樹種、水やりをご紹介しました。ただシンボルツリーを1本ぽんっと植えただけではどこか寂しく物足りない…後編ではそんな時に合わせて植えたい低木の紹介をしたいと思います!