「怒る」と「叱る」は違うと言われていますがそもそもの違いは「自分のために怒る。相手のために叱る。」という捉え方のようです。「相手のために叱る」ということは相手に理解してもらい相手の腹に落ち、相手の成長を促すものでなければなりませんよね。
69%の人が「叱って失敗をした経験がある」とアンケートに応えており、71%の人が「自分の叱り方に自信がない」と答えています。そして74%の人が「叱られて不快な思いをしたことがある」と回答しています。不快な思いをしちゃってるってことは「腹に落ちてない」「納得できてない」ってことですよね。
『そうはいうけど「褒めて伸ばした方がいい」ってのもよくきく話だし、叱って気まずくなってへそ曲げられたらかなわないよ~最近の若い子は叱られ慣れてないっていうしね』こういう意見もよく耳にします。「叱ること」を放棄して起こるデメリットとしては、人間は自分の存在を他人を通して確認しています。自分がやったことに対するフィードバックがなければ「存在していない」のと同じ、無視され無関心だと思わせることになります。そしてやはり「叱らない」ことは相手の成長機会を奪うことになります。いいことだけをほめて指摘すべき点は「まあ、あの点はいいか」と目をつぶってしまえば、もうそこから1mmも成長しません。
「叱る効果が感じられないから叱らない」「叱る必要性を感じない」と思う方は「叱る」ということを「強くとがめ悪い点を指摘する」行為だと思っている可能性があります。「叱る」ということは大事なコミュニケーションでありもっと成長を加速させる1つの方法です。
そんな重要なコミュニケーションの一つ「叱る」。それを有効に使うためにまずは、嫌われてしまう叱り方&タイプを理解し、自分に当てはまらないかチェックしてみましょう。
■嫌われる叱り方
1.行動ではなく相手の人格に焦点をあてる
叱るとは行動改革を促すためのこと。人格を否定してしまうと相手の納得と共感は得られません。
2.過去を蒸し返す
原則として「今」起こっていることに対して叱りましょう。見てみぬふりした過去のことを持ちだして叱ると不信感を与えます。
3.感情的にならない、言葉の暴力はふるわない
多くの場合「熱い人だ」と思われるよりもまず相手の心を傷つけ、心を閉ざしてしまいます。
4.一般化
「いつも」「また」という言葉は相手の行動を一般化し、一方的な決めつけに結びつきます。その時の行動に絞りましょう。
5.長い
叱る時間と叱る効果は比例しません。
6.無責任
「上が言っているから」「方針だから」など自分以外のことを理由にすると不信感を与えます。自分の言葉で叱りましょう。
7.比較
誰かと比較して叱ってしまうと自尊心を傷つけ自信を喪失させてしまいます。それで奮起するパターンもありますがあまりオススメできません。
8.一貫性がない
叱る基準がコロコロと変わると「前言ってたことと違う」と不信感や不安を募らせます。
どうでしょう?当てはまったり、ギクっとなった点などあったら改めたほうが良いかもしれません。
■あなたの叱り方のタイプは?
1.ネチネチタイプ
ネチネチ長く叱るタイプ。しまいには本題から外れ小姑のように関係ないことまで話します。アドバイスが好きで求められていないのにアドバイスします。アドバイスのしすぎは自分で考える機会を奪うので「指示待ち社員」を作る可能性が。
2.瞬間湯沸かし器タイプ
すぐ頭に血がのぼり感情的に爆発するタイプ。相手は萎縮し、頭が真っ白になり思考停止状態に陥ります。叱られることを恐れ、隠蔽工作や嘘をつく社員になってしまう可能性もでてきます。
3.逃げ腰タイプ
叱ることを苦手としていて叱ることにマイナスイメージを持っています。見て見ぬふりをしてしまうことも。前置きがながくなり遠回しにいうため結局何が言いたいのか伝わらず、結果的に叱ってもなにも効果がありません。
4.嫌味タイプ
嫌味口調で伝えたり、ため息やイラついた態度を示して自分の意図を伝えようとするタイプ。自分の評価が気になり「困るんだよね」「上がそう言ってるからそうしてよ」など無責任な発言をして信頼関係を壊してしまいます。
5.脅しタイプ
デキる人ほど陥りやすいタイプ。自分の思い通りに動かしたい気持ちが強く、相手に高い要求をします。成果重視型で成果を出せない人にはペナルティを与え恐怖心で人を動かすので継続的に高い成果が期待できません。威圧的な表情や態度「なんで?」という詰問は相手を萎縮させ自由な発想や行動を妨げます。最初はイイかもしれませんが限界がある指導方法です。
6.建設的タイプ
望ましい行動を促す動機づけという「叱る」という行為の目的を理解し、部下の納得と共感を得る叱り方ができるタイプ。叱っても気まずくなるどころか部下から信頼され、チームの成果を高められるタイプ。
もちろん目指すべきは「6.建設的タイプ」ですが自分がどのような行動パターンで、どんな叱り方のタイプなのかを自覚するのが第一歩ではないでしょうか。次回は「叱る、その行動の前にやっておくべきこと」を配信予定です。
出典:あたりまえだけどなかなかできない 叱り方のルール / 齋藤直美