その1の指針の中で出てきた「建築確認の手続きが必要であることを建築主に説明」するという項目。「建築確認申請をしなければならない」とは書いていません。とはいえ、「施主へ安全確認手続きの必要性さえ説明すれば、建築確認の申請手続きはしなくてもいいんですね」という話でもなさそうです。本来はブロック塀であっても建築基準法の下で建てられるものであれば建築確認申請は必要です。建築確認を行っているのは前提としての記載であると認識しましょう。
塀の新設については状況によって条件が違ってくるようです。
(1)「建物と同時にブロック塀等が新設」される場合
建築物を新築する時に一緒にブロック塀を新設する場合です。ハウスメーカーや工務店による外構を含めた新築住宅はこれに該当します。要建築確認の手続きが必要であることを建築主に説明すること、つまり建築確認申請の必要があります。
(2)「建物とブロック塀等の新設が同時でない」場合
上の文言から鑑みると建物が建った後、後付け工事の場合は要建築確認の説明は不要、つまり建築確認申請は不要となります。ですが、建築確認が必要ではないだけで法の適用内ですから建築基準法が定める構造方法で施工しなければなりません。
(3)「防火・準防火地域において建築物に付属するブロック塀等のみを新設する」場合
(2)と同様に建物が建ったあとブロック塀等を新設する場合でも、防火・準防火地域に該当する場合は要建築確認の説明が必要、つまり建築確認申請が必要です。
防火・準防火地域が調べられるサイトもあります。自分の住んでいる神戸市の防火・準防火地域を見てみたんですが、住宅地のほとんどが防火・準防火地域でした。
↑神戸市のある区域。山手以外ほとんどが防火・準防火地域。
今回の指針はほぼ、現行法規の再確認という位置づけで特に目新しく何かが変わるわけではないようです。外構・エクステリア施工業者は建物の後で施工する場合は今までと同じで建築確認申請は不要です。しかし防火・準防火地域の場合は要建築確認の説明が必要で、建築確認申請が必要であるといえます。現実的には、防火・準防火地域であっても建築確認申請が徹底されていない背景があり、施工会社が自由に施工できています。
◆現行の法順守の徹底化する動きになるか?
防火・準防火地域に関して確認申請が必要なのは今まで通りながら、徹底されることはありませんでした。しかしこれからこの法順守が徹底されることになれば、きちんと法順守し対応できる会社とそうでない会社とでは差がでてくることになります。しかしながら「ブロック塀だけで確認申請を出している人なんていない」「ブロック塀を施工するだけで確認申請を提出していたら仕事にならない」という施工業者の声も現実的。施工業者の実情には即してないのも事実です。
建築確認申請によって手間とお金がかかるからブロックを敬遠する設計者もでてくるかもしれません。しかしブロックは適性に施工しきちんとメンテナンスすれば木造の建築物や板塀、一部RCよりも安心安全な材料。まだまだ伸び代のある材料を淘汰してしまうのはもったいないことです。
もう一度、ブロック塀の設計・施工について見つめなおしてみるいい機会かもしれません。