ご神木を救った!樹木医・後藤瑞穂さんが開発した“ブレスパイプ”がすごい

樹木医として活躍している株式会社木風の後藤瑞穂さん。樹木の診断や治療をしている後藤さんが開発・販売した「ブレスパイプ」が樹木の救世主として注目されています。

RIK
後藤さんがブレスパイプをつくったキッカケを教えてください。 

後藤
樹木医の大先生が考案した「割竹挿入法」というのがあるんですね。割った竹に肥料などを詰めて、木の根っこに埋めるんです。ただ竹は制作するのに手間がかかりますし、目詰まりもしやすいというデメリットもあったんです。樹木に対して効果の出る期間が短いんですね。10年以上前に父と制作した割竹の代わりに暗渠排水用のパイプを使用したモノの方が使いやすいと、職人さんからの要望もあって改めて使い始めました。その活用例をエコプロダクツで発表したら東工大のOBでNPOの活動をしている方々と出会い、その流れでベッカー精工さんを紹介してもらいました。それで、ベッカー精工さんに金型を作ってもらい共同でオリジナルのパイプを開発することになりました。 
RIK
ブレスパイプの特長を教えてください。 
後藤
酸素剤を添加したブレスパイプは土壌の固結などによって酸素不足で治療が必要な樹木にとても効きます。地中の酸素濃度を空気中と同じ濃度21%にできます。それによって土壌微生物の働きを活発にします。さらに根は呼吸をしています。地中に必要な水と酸素を確保することで根上がりを軽減します。さらにパイプの中に充填する資材は東工大OBさんたちのNPOで扱っている竹の腐葉土です。竹も繁茂していて環境問題になっていますから、ブレスパイプを使うことで里山の保全にもなっているのです。そして筒形であるブレスパイプは狭いところでも設置可能で大掛かりな施工も必要ないのが特長です。

RIK
かなり弱っていたご神木をブレスパイプが救ったとか… 
後藤
市川八幡神社のご神木ですね。枝葉はスカスカで根っこは踏圧被害がひどい状況でしたが、ブレスパイプ挿入後2年で枝葉は蘇りものすごく元気な状態になりました

RIK
ご神木プロジェクトなど、公共のプロジェクトでの導入が多いのでしょうか? 
後藤
 そうですね。私は株式会社木風と、NPO法人フォーエバーツリーネットワークを運営しているのですが、公共性の高い樹木の診断や治療はNPOの方で受けています。クラウドファンディングや寄付金などで成り立っています。さきほどの市川八幡神社のご神木の治療もクラウドファンディングと神社への寄付金でまかないました。
RIK
後藤さんは長年、樹木医としてご活躍されてますが、最近は樹木医の女性が増えているとか…? 

後藤
増えているといっても、それでもまだ少ないとは思います。全国で樹木医は2600人ほどで、そのうち女性は250人くらいになりました。樹木医自体がまだまだ少ないですし、その中で女性は少ないので定期的に交流会を開催して意見交換やイベントなどの活動を共にする「じゅもくい女子会」なども開催しています。

RIK
後藤さんはすごく精力的に様々な活動をされていますよね。 
後藤
そうですね、まず株式会社木風は樹木の診断治療をメインに造園の設計・施工の管理の会社なんですが、スタッフも増え現在5名で頑張っています。女性の多い職場で、専門性の高い仕事ですので出産を機にテレワークに切り替えたり保育園の送り迎えのための時短など、働き方改革がここまで言われるようになる前から自然と女性のライフプランに合わせた働き方を会社として提示できています。その中で緑地の管理をしながら「こういう製品があればいいのに」と思うことが多々あり、今回のブレスパイプの開発販売の機会があって合同会社KOFUを立ち上げました。さきほども話にでたNPO法人フォーエバーツリーネットワークは業界の枠を超えた環境保全のための共同体でありたいな、と思っています。恵まれない樹木を助けることを目的としていて…。この3つの活動が、自然とうまいバランスで絡み合っていると思います

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RIK
樹木医ってなかなかお目にかかれない職業だと思うのですが後藤さんはいつ頃から樹木医になりたいと思っていたんでしょうか? 
後藤
私の祖母が医師だったんですが、無医村の村で村人を見守るDrコトーのような人で。使命感の強い人でしたね。社会貢献する祖母の姿を見て育ったので自然と社会貢献の大切さは肌で感じていました。私自身は獣医にあこがれていましたね。少女の頃は命を助ける仕事に就いてみたい、と。それから父が造園家なのですが「オレの仕事は酸素を作る仕事」と日頃から言っていてその言葉にも社会的な使命感を感じましたし、祖母と父の姿を見ていて「社会的に貢献できること」と「他人事にしないこと」がモットーになっていました。その後ガーデンデザインやランドスケープデザインの仕事についていましたが、出産を機に実家に滞在していた時に樹木医を受験した父が持っていたテキストを見て、命を守ることと美しい景観づくりができる仕事はこれだ!と閃き「樹木医にチャレンジしよう」と試験を受けて合格し現在に至ります。 
RIK
なるほど。お祖母様とお父様の影響が強かったんですね。今後の展望などお聞かせください。 
後藤
まだまだ、樹木医として、社会企業家としてチャレンジしたいことが沢山あります。造園業界だけじゃなくて色々な業界の人と協力して今以上に、樹木と人がイキイキと生きられる社会に役立つ懸け橋のような活動をしていきたいですね

ブレスパイプへのお問合せ  03-6457-1084
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株式会社木風