前回までは新建新聞社の大予測セミナーのコラボハウスの清家氏のセミナーのご紹介として気になるキーワード「ポジショニング戦略」「マーケティング戦略」を中心にご紹介しました。今回は清家氏ならではの「良い人材の確保」のお話がとても興味深いものでしたのでご紹介します。
平成20年に資金550万円で設立後、2~3年で急成長を遂げ、スタッフの数も急増したコラボハウス。急成長の理由の一つを清家氏は自身でこう分析されていました。「新築を建てる世代(30~40代)とそれを設計提案するスタッフの年齢構成が同じだった」こと。世代が同じなので価値観を共有しやすい、立場を共感しやすい、お客様が心を開いて話しやすいなど様々なメリットがあります。
清家氏はさらに言います
「スタッフは当然、歳をとります。全員のスタッフが歳をとると、若いお客は離れていってしまうと思います。」では、それを避けるためには?清家氏のとった対策はこうだった。
ピラミッド型の管理体制を廃止すること。トップがいて、部長がいて課長がいて上から下へ指示を出していく、というピラミッドの組織形成を廃止したのでした。
ピラミッド型は秩序があり、それぞれの役割が明確で指示しやすくとてもスムーズに業務は運ぶのですが「与えられた仕事しかしない」人材が生まれてしまうのも事実であり、「ある程度の仕事をこなしていれば給与がもらえる」という価値観で仕事をする人材もでてきます。
そして、ある程度の仕事をこなすだけで向上もしない人材は当然、転職もしませんから歳を重ねてもずっと同じ仕事をし続けることになります。前述の若いお客を惹きつける人材とはかけ離れてしまうわけですね。
コラボハウスでは業務の内容により人材をチーム分けしますが、チームリーダーは設けず、みんな同一の立場とする、フラット型組織を形成しました。もちろん働きに応じて、賞与や給与にきちんと反映されるので個々人それぞれが自分で考え行動し、業務に勤しんでいるそう。
そのため自分たちで考え行動した結果、「新築部門」から「リフォーム部門」へと移動する人材の動きがあり、それぞれに与えられた役割で最大のパフォーマンスを発揮できているそうです。
お客様の世代に合わせてスタッフの世代をあわせる。化粧品カウンターのBAやアパレルの販売員は購買世代に合わせた世代のスタッフをあてがうというのは有名な話ですが、住宅の設計提案でもその方がいいんだ、と眼から鱗の組織づくり論でした。
参考:新建新聞社 住宅産業大予測フォーラムセミナー(2015年12月17日)