新建新聞社の住宅産業大予測セミナーレポートの続きです。前回の内容はこちらをご覧ください。
内閣府調査の「今後重要視したいもの」の中で残念ながら最下位だった「住生活」のジャンル。そこで三浦氏は発送の転換、ポジショニングの転換を提唱しました。「今後重視したいもの」のトップであった「レジャー・余暇生活」にどう繋げるか。
三浦氏が注目しているアウトドアブランド「スノーピーク」。「人生に野遊びを」というミッションを掲げているアウトドアメーカー。他のアウトドアメーカーと一線を画しているようです。三浦氏は「スノーピーク」に学ぶべきこととして以下のことを挙げていました。
・アウトドア人口は1,500万人いる中で、一定数の高感性・高所得者層を顧客にしている点
・経営のコンパスは「way」=常に顧客の笑顔を指す
・ミッションは「人生に野遊びを」(=顧客がオートキャンプという体験を通して友人や家族との楽しい時間を共有し感動してもらい思い出にする
・社長以下社員全員がアウトドア愛好者。自分が使いたい製品をプロダクトアウトで作る
・高単価・値引きなし、しかし永久保証
・次のビジョンは「アーバンアウトドア」「人間性の回復」
ミッションの「人生に野遊びを」では本質的なものに引き込むことを目的としているのがわかります。人生において子供の頃感じたような無邪気でキラキラとした楽しい時間を、家族や仲間と共有することがどれほどの価値があり、どれほど素敵なことなのかを凝縮しているようなミッションだと思います。
また社員全員がアウトドア愛好者というのも、ポイントが高いとのことです。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように「好き」に勝るモチベーションはないですよね。愛好者だからこそ「アウトドア好きが本当に欲しい」製品が生みだせると思います。そして「アーバンアウトドア」。家の中のレジャーのことです。「アーバンアウトドア」という市場をこれからつくっていこうという考えのようです。キャンプをしない人が都市部にいながら自然を感じて生活できるようなライフスタイルを提案する方向性です。
「庭やテラスでも充分、アウトドアを楽しめて自然に触れて人間性を回復できる」とスノーピークは提唱しているのです。
同じことが住宅産業でも可能なのではないでしょうか。家だけではなく、庭やエクステリアをトータルに提案し、一般消費者が求めている「レジャー・余暇」の要素を取り入れることで、現代の人々が望む「最上の住まい」の提案が可能になるかもしれません。
このように「家」の販売から「ライフスタイルの提案」へポジショニングを変えていくことが重要になって来るのかもしれません。
次回は三浦氏のセミナーの中で出た「ポジショニングマップを理解してどのポジションで戦うか」をレポートしたいと思います。
参考:新建新聞社 住宅産業大予測フォーラムセミナー(2015年12月17日)
新建新聞社